老親のアパートを管理する

こんにちは。
家族信託専門の行政書士 えんたけです。

相続に関する規定が、7月に変わります。
亡くなった方の預金を引出すには、相続人
全員の同意が必要ですが、7月から相続人
の一人で一定金額を引出すことができます。
詳しくは、以下を参照ください。
「争い回避へ変わる相続 7月から、
 介護「嫁」も請求権」
今年1月、自筆証書遺言の要件緩和がスタート
来年7月には、自筆証書遺言を法務局で保管
する制度もスタートします。

このホームページでは、今後も役立つ情報を、
ドシドシ提供してまいます!

老親のアパートを管理したい

父が、運転免許更新前の「認知機能検査(いわゆる認知症テスト)」を受けて医者の診断書を提出するように言われてしまいました。
築50年のアパートを修繕か建直しを検討していた矢先の事で、とても驚いています。
認知症は、進行が早い場合があると聞いて、焦っています。
どうしたらよいでしょうか。

それは大変ですね。
お医者さんの診断結果はどうでしたか?

一応は「問題ない」と言われました。
でも、物忘れはあるんですよ。

お父さんの状況によっては、対策を進められない場合があるので、早速、検討してゆきましょう。

対策をしなかった場合

万が一、対策せずお父さんが認知症になった場合、アパートの管理・修繕、新たな賃貸借契約、取り壊し、建替え、アパートや土地の売却は、難しくなります。

そうですよね。テレビで観たことがあります。
「成年後見制度」を使うことで、解決するとも聞いています。

はい。お父さんに「後見人」をつけることで出来ることはあります。
できるのは、アパートの管理、雨漏り等の修繕、新たな賃貸借契約。不動産の売却も、家庭裁判所がOKすれば進められます。

アパートが古いので、今っぽくリフォームをして、入居者を増やしたいのです。
建替えも視野に入れています。

難しいと思います。そのような使い方って「投資的」とみなされ、できないとされています。
「現状維持」が基本になってゆくでしょうね。

そうなのですね・・・。
私が近所に暮らしているので、私が後見人になりたいのですが。

長女さんが後見人になれるとは限りません。
最終的には家庭裁判所が選ぶのですよ。
最近の傾向としては、7割以上が専門職(弁護士・司法書士等)が選ばれています。
(東京家庭裁判所後見センター資料より)

えぇ!そうなのですか。

お父さんの預金や印鑑等、全ての財産を後見人が管理することになります。
さらに、後見人への報酬として、月2万円以上を支払わなければなりません。
お父さんの財産は、、、4千万円ほどですね。すると、月3~4万円を、お父さんが亡くなるまで支払い続けることになるでしょう。

親のお世話を、子供が全部できないのでしょうか・・・。

対策その1 任意後見契約をする

任意後見契約も検討してみましょう。
お父さんの判断能力があるうちに、長女or長男さんと任意後見契約を結びます。
こうすることで、お父さんが認知症になった場合でも、子供さんが後見人になって、
お父さんの財産管理、アパートの管理もすることができます。

そうなんですね。

ただし。なんでも出来るわけではないのです。

例えば?

先程「アパートの大規模なリフォーム」「建替え」を考えているって、言ってましたよね?
先程と同じく「投資的」なお金の使い方は、難しいとされているのです。

そうなんですか!?

はい。もちろん、アパートの管理、雨漏り等の修繕、新たな賃貸借契約はできますよ。

そうか~。私達の代のことを考えると、厳しいな~。

もうひとつ方法があります。『家族信託』です。

対策その2 家族信託

その『家族信託』なら、大規模リフォーム、建替えができるのでしょうか?

可能です。
お父さんも希望されているのですよね?
であれば、可能です。
銀行の借入もできます。

家族信託について詳しく教えてください。

お父さんを「委託者&受益者」長女さんを「受託者」とする信託契約を結び、お父さんのアパート等を長女さんに、託します。
長女さんは、託された財産の管理や、必要に応じてリフォームを行うこともできます。

アパートの賃料収入はどうなりますか?

賃料収入は、お父さんのものです。
生活費・介護費等、お父さんの生活に使用することができます。

私達の希望を実現するなら『家族信託』が良いですね。

そのようですね。
ただ、アパートも大切ですが、お父さんの生活を支えてゆくことも大切です。
家族信託だけではカバーしきれない部分も出てくるかもしれません。
その場合、家族信託と任意後見契約を併用することで、より安心できると思います。

お問合せは、コチラ
えんたけ行政書士事務所
TEL:0256-55-6139  <10時~19時 (土日・祝日を除く)>
メール:info(アットマーク)entake.net

選択肢を残す

みなさん、達者らかね!?

家族信託専門の行政書士 えんたけです。

前回

相談事例をもと
 ・『自宅を手放したくない』親の気持ち

 ・『お金と手間がかかるから、売りたい』子供の気持ち

 親子の相反する気持ちについて、

そして

大切なことは

 『選択肢を残すこと』

と書きました。

では、選択肢を残すためにはどうしたらいいの・・・

選択肢を残すことを考える前に、

まず

選択肢が減ってゆくことについて考えてみましょう。

  

選択肢が減る原因は、主に・・・

『1、親の体調の変化』

 ・認知症になることで、意思判断ができない

『2、父の死亡』
 ・自宅を、母・長男・長女で相続
   自宅を売却するには、相続人全員の同意が必要
⇒ひとりでも反対したら売却することができない

 ・自宅を母が相続。母が認知症になると意思判断ができない

です。

 

続いて、

選択肢を残す方法について

検討してみましょう。

 

『1、親の体調の変化』

親の心身が衰え・認知症になると、

財産利用に制限が生じることがあるのです。

このことに対応するため、
本人を支援するための制度があります。

【成年後見制度】
認知症になり成年後見制度を利用した場合、
自宅を売るには、家庭裁判所の許可が必要です。
場合によっては、許可がでないことも
許可が出ない場合は、自宅を維持管理し続けなければなりません。

元気なうちに子供と任意後見契約を締結。
認知症になり家族が任意後見人になった場合、
自宅を売るには、実務的には任意後見監督人と相談が必要。
場合によっては、許可がでないことも
許可が出ない場合は、自宅を維持管理し続けなければなりません。
この2つには、

柔軟性に欠けるという欠点があります。

元気な時の親の希望を、
実現できない可能性があるのです。

【家族信託】
元気なうちに子供と信託契約を締結。
自宅を信託財産とします。
認知症で判断能力がなくなっ場合でも、
受託者である子供の判断で自宅を売却することが可能。
もちろん、売却することなく、親が年一回自宅で過ごすことを優先することも可能。

家族信託は、
親の希望を
「冷凍保存」することができ、
必要に応じて、
「解凍」

希望を実現できる可能性が高くなります。

 

つづいて

『2、父の死亡』

について検討してみます。

【自宅を母・長男・長女が相続】
自宅を売却するには、母・長男・長女全員の同意が必要。
ひとりでも同意しない場合は、売却することができず、
自宅の維持管理が必要になる
【自宅を母が相続】
母が元気なうちは、いいが、心身が衰えた場合
『1、親の体調の変化』と同様の検討が必要
【自宅を長男が相続】
母が反対したとしても、

長男の独断で売却できてしまう

以上が、相続をした場合です。

 

【家族信託】

両親の希望を盛り込んだ信託契約を締結。

受託者である子供は、希望を叶えるために自宅を管理することになる。

『1、親の体調の変化』と同様に

親の希望を
「冷凍保存」することができ、
必要に応じて、
「解凍」

希望を実現できる可能性が高くなります。

以上

『1、親の体調の変化』
『2、父の死亡』

について検討してみました。

 

心身が衰えても

「選択肢が残っている」
というのは、
制度的に優れているのは
「家族信託」です。
特徴の一つに、
「柔軟に設計できる」

ということがあります。

 

もちろん、

より良い方法は、

家族によって異なるでしょう。

 

『選択肢を残す』

手遅れにならいないよう

元気なうちに
備えをしておくことが
行政書士・家族信託専門士 高橋正芳